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会場は、2階左手、クローク近辺のインタラクションコナーの前で開催。
前半は、受賞した中から会員会社のクリエイターが参加してのセッション。
後半は、出力に尽力されたエプソン販売(株)、(株)PCM竹尾のご担当様からのレクチャーがあった。司会は、(株)草思社プランニングの村上健氏が担当。
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司会) |
まず、クリボラの経緯ですが、OAC設立が1974年です。30数年の中での主な活動は業界内での加盟広告制作会社のプレゼンスを高めるということでした。今回は、ユニセフさんとの協力で社会貢献とクリエイター自身が社会に目を向けて発信していくべきではないかという大きな課題に取り組みました。
また、社会的反応ですがNHK首都圏ニュースを始め、多くののマスコミに取り上げられました。ネット上でもかなりでています。また、この会場が国連施設ですので、会議に出席した方達が見に来てくれます。中には、東南アジアの文化副大臣がうちの国でやる日本のイベントに絡めて出してくれないかというようなオファーがあったりで大きな反響を呼んでます。
それでは、受賞したクリエイターの皆様をご紹介します。皆様から見て左から外務大臣賞を受賞されました。(株)クリエイティブオフィス・タブコの川筋直樹様です。次がユニセフ東京事務所賞を受賞されました(株)アクロバットの江本祐介様です。隣が国連広報センター賞を受賞されました(株)マックの北茂様です。最後にJAA賞を受賞されました(株)ティ・エー・シー企画の山田晃輔様と金澤成亮様です。
それでは、どうやって作ってこられたかを皆さんにお聞きします。おそらく皆さん、通常の忙しい仕事の中で突然社長からがいつまでやれと云われ、この忙しいのになんだと少なからず思われた方もいらっしゃると思うのですが(笑)川筋さんは、コピーライターですね。いかがですか? |
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川筋) |
OACでボランティアというのは、意義あるし楽しそうだと思いましたよ。 |
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司会) |
手を上げてやったのですか?実際にやってみてどんな感じでした、通常の仕事もありたいへんでしたでしょう。 |
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川筋) |
そうですね(笑) |
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司会) |
江本さんはどうでした? |
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江本) |
経緯は、社長からほぼ強制的にお前がやれと名指しで云われました(笑)
その時は、ボランティアが入り口だったわけではありません。ボランティアを特に意識しませんでした。 |
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司会) |
名指しされてどうやってこられましたか? |
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江本) |
実際には、ほとんど自分でやりました。 |
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司会) |
北さんはいかがでしたか? |
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北) |
社長から話があり、社内で声をかけたところ、数人の手が上がりましたので、 手をあげた全員でやってみようと云うことになりました。当初、ボランティアの意識はありませんでした。 |
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司会) |
金澤さんはいかがですか? |
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金澤) |
社長の方から話があり、入社1~2年、3年くらいでチームを組み、週1回か週2回アイデアを出し合い社長とCDとの打合せを行い、序々にステップアップしていきましたが中々アイディアをだすことができずギリギリまで苦労しました。最後にこれで行こうと決まったチームが作り上げたものです。Webも同じチームでやりました。 |
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山田) |
僕も金澤も入社1年目ですので焦りました(笑)。しかしながら公共広告は、何回か街で見てますがありふれていますので、違った切り口で壊してみたいなという気持ちがありました。 |
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司会) |
公共広告的ですが、いままでと違った流れがクリエイティブ上でありましたか? |
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川筋) |
日常では、クライアントのしがらみがありますが今回は、自由度があり、つくり易かった反面、クライアントのせいにできないやりにくさもありました。(笑) |
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司会) |
学生の頃、ボランティアをやったことがありますか? |
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江本) |
町内会でゴミ掃除をやりました(笑)。 |
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北) |
今までボランティアの経験はなく今回、ボランティアというものを体験しました。自分たちのつくったものは、この展示会であらゆる人に見てもらうものです。それだけに、表現する行為自体に責任を感じました。ボランティアというスタンス上、エイズと子供たちについて、間違ったことを伝えないよう、表現する内容について自問自答を繰り返しました。今回そのように考え抜いて作品が出来上がった時、私自身もやっとボランティアの入口に立てたような思いがしました。 |
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川筋) |
問題が大きいので、できるだけシンボリックな絞り込み、エイズと子供というキーワードを全面にガッと出しました。それが怪獣です。コピーは、大人でも子供でも分かるように、ひらがなで簡単な言葉にしました。
ビジュアルは、暗くならずにポジティブにいきたかったので、明るいロゴのみで表現しました。 |
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江本) |
エイズという大きな問題で、「世界ではこういう事が起きているのだ、日本では、なかなか知られてない」と私がユニセフのホームページを見た驚きをそのまま出せればいいなと考えました。
兎に角、シンプルに英字新聞をモチーフに普通の子供が悲しそうな顔をしている。最初からこれで行こうと思いました。 |
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北) |
テーマが深いので、表現を考える上でたいへん悩みました。子供とエイズの関わりを考えると、いろんなケースが存在するからです。だから、母子感染など、ひとつの問題を取り上げるのではなく、見た人が大きくエイズと子供の関わりについて考えられるシンボルを作れたらと思いました。それが、血の色に染まったLEGOでできた十字架の列です。エイズとの関わりのため子供らしく遊べない、そんな子供たちが世界にたくさんいる。
シンプルにそのことを伝えたかったのです。ポスターを見た人がそこから、エイズと子供たちの関わりについて、自分なりに考えてくれたら。そのための入口になればいいなと、そう思っています。 |
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金澤) |
エイズより子供の問題にエイズが隠されていると云うイメージで影を創り、Iを子供にして影にパースをつけることでインパクトを与えました。
苦しんでいるのは子供だと着眼しました。KIDSのKが違うだけでAIDSになってしまいます。AとKが違うだけで子供とエイズが密接な関係にあると云うことです。 |
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司会) |
今後のクリボラをどう考えますか? |
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川筋) |
ボランティアの場を作って頂いてありがたいと思ってます。これからも参加していきたいと思っています。 |
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江本) |
自分が得意な仕事でボランティアができ、しかも自分ひとりの力でなく、それぞれが集まってひとつになって世に出て行くことが良いと思います。 |
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北) |
クリボラに参加させてもらい、自分のデザイン力でやれたのがおもしろかった。皆さんが考える入り口になってくれればと思います。 |
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金澤) |
以前から世の中の公共広告のデザインの力がどこまで通用するのかしないのか自分の中にずっと疑問がありました。
その葛藤の中で出来上がったものは、効果があるのかどうかも分かりません。例えばポスターを見て家に帰ってインターネットで子供とエイズの問題を調べる人がはたして何人いたのでしょうか・・・
けれども、これからもデザインの力を信じてやっていきたいと思います。 |
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山田) |
ボランティアと云うと毛布を集めたりとか衣類を集めたりとか直接現地へいってやるというようなことを考えてましたが職業でボランティアができることは素晴らしいことです。是非、街中に出して頂きたい。 |
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司会) |
皆様、本日はありがとうございました。ボランティアの語源は、喜びだそうです。それでは、前半のセッションを終了します。 |